Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
柳田 明進*; 浦 蓉子*; 三ツ井 誠一郎; 石寺 孝充; 川喜田 竜平
奈良文化財研究所創立70周年記念論文集; 文化財論叢,5, p.843 - 856, 2023/03
鉄製遺物内部への塩化物塩の集積の有無とその要因を検討するため、平城宮・京より出土した3点の鉄製遺物に対して、蛍光X線分析による元素マップ、微小部X線回折分析、X線CTによる非破壊分析を実施した。さらに、既報の平城宮跡の環境調査結果に基づき、鉄製遺物の埋蔵環境を推定した。その結果、3点は、(1)酸化的な環境に埋没していたと推定され、針鉄鉱/磁鉄鉱の腐食層を有し、内部に赤金鉱が生成した鉄製遺物、(2)酸化的な環境に埋没していたと推定され、内部の金属鉄が溶出し、針鉄鉱のみの腐食層が形成された鉄製遺物、(3)還元的な環境に埋没していたと推定され、菱鉄鉱を含む腐食層が形成された鉄製遺物、であることが認められた。このうち、塩化物塩の集積が確認された鉄製遺物は(1)のみであった。平城宮跡の水質観測孔におけるCl濃度は観測点によって顕著な差異は認められないことから、Cl濃度以外の環境因子が塩化物塩の集積に影響を及ぼしていることが認められた。塩化物塩の集積は、針鉄鉱/磁鉄鉱からなる腐食層が形成されたことでアノードとカソードが分離し、局部腐食が生じたことが要因である可能性が考えられた。
三ツ井 誠一郎
一般国道9号(鳥取西道路)の改築に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書,17; 良田中道遺跡, p.221 - 230, 2015/03
2012年6月に鳥取市良田中道遺跡の古墳時代以降の水田土壌から出土した袋状鉄斧は、原形を留めるなど遺存状態が良好であった。この要因を調べるため、埋蔵環境と腐食状態に関する調査・分析を実施した。埋蔵環境として、湧水水質(酸化還元電位、溶存酸素濃度等)の分析、鉄電極の腐食速度(自然腐食速度)等の測定を現地で実施した。鉄斧の腐食状態については、X線CT装置を用いた腐食層厚の計測、ポータブルX線回折・蛍光X線分析装置を用いた鉄斧表面の腐食生成物等の分析を実施した。その結果、腐食生成物層の厚さはおおむね1mm前後であり鉄斧内部は金属鉄であること、表面に生成した菱鉄鉱(FeCO)が腐食反応を抑制していた可能性があることなどを確認した。
田中 晧*
PNC TJ1211 95-007, 117 Pages, 1995/02
地下水生成モデルの研究において必要な鉱物の溶解速度について研究を行った。成果概要を以下にまとめる。1.鉱物の溶解速度データの調査溶解速度データが整備されていない黄鉄鉱、緑泥石、緑簾石、菱鉄鉱の4種類の鉱物についてDIALOGによる文献調査を実施した。成果の概要を以下にまとめる。(1)黄鉄鉱Linらにより、酸素濃度による反応速度定数kが定義されている。1-(1-x)1/3=k[O2]1/2・t(x:反応したFeSのモル数、[O2]:溶存酸素酸素濃度、t:時間)また、その温度依存性についてk-=2.2109exp(-9140/T)を示している。pHによる影響についてはCiminelliらにより、溶解中性アルカリ性で黄鉄鉱の溶解速度はpHとほぼ線型に増加することが示されている。(2)緑泥石Swoboda-Colbergらにより、2.76.710-12mol/m2/s(pH34.5)の値が示されている。また、Rossらにより溶解反応のメカニズムは拡散律速であり、陽イオンの溶解量に化学量論的な関係があることが示されている。(3)緑簾石Roseにより、pH111において10-1410-13mol/cm2/sの値が示されている。(4)菱鉄鉱Greenbergらにより:脱酸素水中において9.9310-6mol/m2/s値が示されている。2.鉱物-水反応試験による反応速度データの取得(1)黄鉄鉱還元雰囲気及び大気平衡状態の蒸留水中における黄鉄鉱の溶解速度を測定した。Linらの式に従って、大気平衡の蒸留水中での溶解速度定数kを評価した結果、10-410-3(cm3・mol-1)1/2・h-1と評価された。(2)緑泥石蒸留水中での緑泥石の溶解速度を測定した。溶解は放物線溶出反応にあることが確認された。Rossらの式に従って、溶解速度定数kを評価した結果、10-1510-14の範囲であった。2=kt(:溶解した鉱物量と初期存在量の比、t:時間)
田中 晧*
PNC TJ1211 95-006, 72 Pages, 1995/02
地下水生成モデルの研究において必要な鉱物の溶解速度について研究を行った。成果概要を以下にまとめる。1.鉱物の溶解速度データの調査溶解速度データが整備されていない黄鉄鉱、緑泥石、緑簾石、菱鉄鉱の4種類の鉱物についてDIALOGによる文献調査を実施した。成果の概要を以下にまとめる。(1)黄鉄鉱Linらにより、酸素濃度による反応速度定数kが定義されている。1-(1-x)1/3=k[O2]1/2・t(x:反応したFeSのモル数、[O2]:溶存酸素酸素濃度、t:時間)また、その温度依存性についてk-=2.2109exp(-9140/T)を示している。pHによる影響についてはCiminelliらにより、溶解中性アルカリ性で黄鉄鉱の溶解速度はpHとほぼ線型に増加することが示されている。(2)緑泥石Swoboda-Colbergらにより、2.76.710-12mol/m2/s(pH34.5)の値が示されている。また、Rossらにより溶解反応のメカニズムは拡散律速であり、陽イオンの溶解量に化学量論的な関係があることが示されている。(3)緑簾石Roseにより、pH111において10-1410-13mol/cm2/sの値が示されている。(4)菱鉄鉱Greenbergらにより、脱酸素水中において9.9310-6mol/m2/s値が示されている。2.鉱物-水反応試験による反応速度データの取得(1)黄鉄鉱還元雰囲気及び大気平衡状態の蒸留水中における黄鉄鉱の溶解速度を測定した。Linらの式に従って、大気平衡の蒸留水中での溶解速度定数kを評価した結果、10-410-3(cm3・mol-1)1/2・h-1と評価された。(2)緑泥石蒸留水中での緑泥石の溶解速度を測定した。溶解は放物線溶出反応にあることが確認された。Rossらの式に従って、溶解速度定数kを評価した結果、10-1510-14の範囲であった。2=kt(:溶解した鉱物量と初期存在量の比、t:時間)